一般社団法人 グローカル政策研究所
阿部孝則の『寡黙な麻雀王者』
第32回連載
最近の麻雀界は麻雀人口が年々減少傾向にありました。
しかしネット麻雀やMリーグ人気の影響により減少傾向にあった麻雀人口はまた増加の一途を辿りつつあるようです。
また麻雀をするより見る麻雀ファンが増えたこともここ最近の傾向としてあるそうです。
2023年になりそのMリーグ機構からMリーグトーナメントという新たなタイトル戦が開催されることが発表されます。
これは主要5団体から各団体の代表選手を20名選出しこれに現Mリーガー32名を加えた総勢52名によりトーナメント形式のタイトル戦を行なうというものです。
競技麻雀におけるトーナメント形式の試合とは同一メンバーで半荘戦を2回ないし3回程度行いトータルポイントの上位2人が勝ち上がるというものです。
今回のMトーナメントでは半荘2回戦トーナメントが採用されました。
システムは予選1と予選2そして決勝と続きます。
予選2まではトータル2位までが勝ち上がることになります。
そして決勝も半荘2回戦となり、半荘2回の合計ポイントが1位の人が初代Mトーナメント優勝の栄誉を勝ち取ることになります。
ルールはMリーグ公式ルールが採用されます。
25000点待ち30000点返し、一発、裏ドラ、カンドラ有りに加え赤牌も3枚入れられたルールとなっています。
これは巷で皆さんが行なうルールにより近いと思われるものになっています。
今までの競技麻雀のルールは巷で行われている一般的なルールとはかなりかけ離れたものを採用することが多く、麻雀ファンや愛好家の方々からはとっつきにくい、分かりにくいという意見のほか競技麻雀に慣れ親しむ機会も少ないため様々なことが言われて来ました。
しかしMリーグでは一般の方や初心者の方々にもより分かりやすいと思われるルールを積極的に採用しています。
そして肝心の出場選手ですがRMUからはMリーガーである渋谷ABEMASの多井隆晴さんとEX風林火山の松ヶ瀬隆弥さんの出場は決まっていました。
そして団体の代表選手を2名選出しなければなりませんでした。
臨時の事務局会議が行われ2023年度の成績や団体貢献度を鑑み第1回のMトーナメントには河野高志さんと私が選ばれることになりました。
私は選ばれたこともとても光栄でしたが何よりトーナメント戦は得意としており自信がありました。
そして日程調整の段階に入りますが日程に余裕があり協力できる選手は解説もさせて頂けるということでした。
私は元来麻雀以外のことはあまり得意とするものがなくむしろ苦手なものばかりでした。
喋ることやコミュニケーションをとることはもっとも苦手な分野になりますが、幸いにも日程調整はかなり自由にすることができます。
こんなチャンスは滅多にないのでこの大舞台でも解説もさせて頂くことを希望します。
希望多数の場合は抽選になるということでしたが解説もさせて頂けることが決定されます。
そして日程を調整する方々もそれは大変な作業であったと思われますが程なく日程が決定されます。
次に試合中に着用するユニホームのサイズ測定と宣伝用のPV撮影を都内のMリーグスタジオで行うと連絡があります。
MトーナメントではMリーガーはそのまま自分のチームのユニホームを着用し、団体代表選手はMトーナメント用に用意されたもの着用するということのようです。
私は指定された日にMリーグスタジオに向かいます。
所在地の公開はされていないので詳細は言えませんが、駅から少し歩いたところの大きなビルの一角にMリーグスタジオはあります。
2階の受付で団体名と名前を名乗ると中に案内されます。
そしてMリーグでもお馴染みの選手控室に通されます。
2階部分は選手控室のほかにも実況解説室やメイク室、スタッフの休憩所など様々な部屋があり1階部分が対局スタジオになっているようです。
少し待っていると別の部屋に呼ばれます。
そしてユニホームの採寸を終えるとPVの撮影に入ります。
様々なポーズや角度で写真を撮られたあとは用意された幾つかの質問に答えながらインタビュー形式での撮影が行われました。
この日は対局スタジオには入れず 1時間ほどで撮影は終わりMリーグスタジオを後にします。
数週間後にMトーナメントが開幕します。
まずシステムですがA卓からL卓までの12卓に別れ予選 1が行われます。
私はD卓となり予選 1の2日目の登場となりました。
そしていよいよ待ちに待った試合当日となります。
試合はC卓が午前から行われ、私が出場するD卓は夕方近くからなので時間的には余裕があります。
しかし先日行われたA卓、B卓の様子を見ていると視聴者数が数万人となっており、MリーグだけでなくMトーナメントもかなり注目を集めていることが伺えます。
私はこれまで幾多の放送で対局してきましたが、今だに最初は緊張してしまうことがあります。
これだけ世間から注目されていると実感するとなると尚更です。
その日は雷を伴う大雨でしたがずぶ濡れになりながらも無事Mリーグスタジオに到着します。
選手控室に入ると新品のユニホームが用意されています。
胸の部分にはMトーナメントのロゴがあり背中にはABEの文字そして左腕にはRMUのロゴが刻まれています。
ユニホームに袖を通すとRMUの代表としてここに立っていることの重みがずっしりと感じられ緊張間も増してきます。
スタッフの方に呼ばれいよいよ対局スタジオに案内されます。
スタジオは思ってた以上に広くそして暗く感じました。
その中央の一際眩しいスポットライトの下に光り輝く麻雀卓が一台だけ設置されています。
入場の仕方から競技中の注意点そして対局終了後のインタビューまで一通りの流れの説明があります。
説明が終わるとメイク室に呼ばれます。
メイクとヘアセットをして頂きあとは対局が始まるのを待つばかりです。
私が出場する予選D卓の相手はTEAM RAIDENの本田朋広さんKADOKAWAサクラナイツの岡田紗佳さん最高位戦の関翔太郎さんという組み合わせです。
現Mリーガーが2人そして皆私よりかなり若く脂が乗っていると言われる世代の打ち手との対戦となり相手にとって不足はありません。
第33回連載へ続く...