一般社団法人 グローカル政策研究所
阿部孝則の『寡黙な麻雀王者』
第38回連載
12月29日、第7期RMUグランプリ決勝戦の朝はいつも通りすっきりと目が覚めました。
ゆっくり準備をしたあと妻の大きな声援を背に受け家を出ます。
大塚にあるスタジオに到着すると既に全員が揃っていました。
解説に同じA 1の藤中慎一郎や藤井光がいることもあり本番前の控室は和気あいあいといった雰囲気です。
決勝メンツを見て藤中が『緊張感のない決勝戦だな笑』と冗談を言っています。
緊張のあまりガチガチな人は1人もいないという意味です。
まあ確かにそうなのですが絶対に負けるわけにいかない私にとってはそれなりの緊張感はあります。
オープニングも終わりいよいよ対局開始です。
決勝戦は4回戦+新決勝です。
1回戦は川久、茶木、阿部、渡辺の並びでスタート。
渡辺が先制リーチ、これをツモって700,1300と比較的静かな立ち上がり。
東2局、配牌としては大して良くない私の手でしたが手牌が端に寄っていたのでジュンチャン、サンショクの大物手狙いの決め打ちをします。
ツモがマッチしない時はオリに徹するつもりでしたがこれが見事に嵌ります。
一二三八九九九⑦⑧⑨789
ドラ八
この手に仕上げて先制リーチ、マチは7,8マンです。
親の茶木から追いかけリーチを受けるも高目の7マンをツモって4000,8000!
なんといきなり倍満が飛び出す波乱の展開です。
そして迎えた親番ではカン6マンをチーしてマチは東と2マンのシャンポンです。
手牌に發が暗刻なのでどちらでもアガれますがダブ東でアガることが出来れば高打点になります。
これも私の狙い通り東は渡辺からあっさりツモ切られ7700の加点。
更に次局も3-6-9ソウ高目一気通貫のリーチをしますがこちらは流局で1人テンパイ。
次局も流局して私の連チャンは続きます。
東3局3本場で渡辺が仕掛けてアガリを拾い700,1300は1000,1600。
東4局は茶木が先制リーチしますが親の渡辺と私がしぶとく粘り流局して3人テンパイ。
次局は川久の先制リーチ、こちらも流局して川久、茶木の2人テンパイで南入します。
親番を迎えた川久が先制リーチ、安いながらもツモって1000は1200オール+供託3000の大きなアガリ。
次局も先制リーチで攻め立てる親の川久。
しかしここは渡辺が交わして1000,2000は1300,2300。
南2局は4着目の茶木の親番。
少しづつ点棒は削られていますが慌てるような展開ではありません。
しかし茶木にも先制リーチが入るとあっさりとツモられてしまいます。
リーチ、ピンフ、ツモ、ドラ1しかし裏ドラをめくるとしっかり2枚乗せて6000オール。
60000点近くあった私の点棒は47000点まで削られています。
今のアガリで2着に浮上した茶木は36000点まで迫ってきています。
当然ですが簡単にトップは取らせてもらえそうにありません。
次局は川久と渡辺の2軒リーチでしたが流局。
南3局2本場供託2000で親番を迎えます。
北家の茶木がソーズの混一色模様で仕掛けてきます。
ドラが3ソーなので満貫クラスは予想されます。
私も役牌を鳴いて更に南が暗刻でありドラも1枚使った勝負手で応戦します。
マチはカン4ソーです。
しかしその4ソーを手元に引き寄せたのは茶木、混一色ドラ3の2000,4000。
このアガリで茶木に捲られオーラスを迎えます。
オーラスは渡辺から川久への横移動で終局。
ダントツからの嫌な捲られ方でしたが戦い方としては間違っていません。
比較的大きなプラスポイントで終えられたことを素直に喜ぶべきでしょう。
2回戦は渡辺、茶木、阿部、川久の並びでスタート。
親の渡辺の先制リーチは流局1人テンパイ。
1本場では茶木の先制リーチに渡辺が追いかけリーチ。
ここは渡辺がツモって2600は2700オール+供託2000。
次局も渡辺がリーチでツモり4000は4200オール。
3本場では茶木の先制かリーチに川久が混一色仕掛けで応戦。
ここは川久に軍配が上がり茶木から8000は8900のアガリ。
東2局は渡辺の先制リーチも茶木が粘り2人テンパイで流局。
次局、渡辺がなんと5巡目に国士無双をテンパイ!マチは1マン!!
しかし親の茶木が2-5-8ピンの3面張でリーチ、高目は3色。
これはさすがに枚数で有利な茶木が渡辺から討ち取り2900は3200。
次局は川久がリーチでツモり2000,4000は2200,4200。
そしてここまで何も出来ない私が親番を迎えます。
子方に仕掛けられ間に合わないと思った私はクイタンで応戦しまずは1500のアガリ。
しかし次局は渡辺から川久へ2600は2900の横移動。
東4局は渡辺が先制リーチ。
高目は一気通貫の大物手でしたが安めの2000で出上がり。
南入して私は20000点弱の大きく離れた3着目。
マチも悪く打点も低い手を静かにツモり500,1000。
南2局は川久が終盤に混一色、役牌、一盃口、ツモの3000,6000。
南3局の私の親番も渡辺が先制リーチでツモり2000,4000。
川久と渡辺が50000点台で100点差のままオーラスを迎えます。
私は上も下も極端に離れた3着目。
これ以上は素点を減らさないようこのまま終わりたいところ。
素点を少しでも回復したい茶木とアガれば良い渡辺が仕掛けで激しくぶつかります。
しかし形の良い渡辺が2000をアガリ2回戦は1回戦と順位がそっくり入れ替わる形で終了。
2回戦終了時の成績は以下の通りです。
素点差こそ多少はあるものの今後の展開は全く予想できません。
観戦している人達からすれば非常に面白い展開であることは間違いありません。
私自身はというと非常に落ち着いており、やれる事をしっかりやれていて良く戦えていると手応えを感じていました。
そしてここから後半戦へ向けてしっかりと勝ちにいかなくてはなりません。
ですがこの続きはまた次回ということで今回はこのへんにしておきます。
第39回連載へ続く...